2023年 未練杯 NE感想戦

今年も日本最大のモックドラフトイベント「未練・或爺杯」(通称、「未練杯」)が行われました。
2023年も、私はニューイングランド・ペイトリオッツ(以下NE)のGMとして参加させていただきました。2年連続。
結果は以下のリンクから
いつもどこかのサブアリーナ 『未練・或爺杯モックドラフト2023』


今回のドラフトでのNEの戦略については、前回までにブログで書いた内容を踏まえ
NEのドラフト前調査の記事にしっかりと目を通して、誰を指名しそうか選別をしたうえである程度の選手に絞ります。
1巡14位で、優秀な選手を指名しようというのが、最初の戦略でした。
Christian GonzalezDevon WitherspoonのCB2名、Top10級残ってたらイイなぁ。 NEってCBを1巡したのはDevin McCourty以来いないし、1巡で大当たりCBを引いたのはTy Law(1995年)以来ないわけで、CBはこの2名以外考えていませんでした。プロボウル級になりそうな素材が少ないわけです。
Broderick Jones LTで唯一狙える位置と素材の価値がマッチしている選手でした。14位で取れたら完璧だなと思っていました。
そしてBijan Robinson、RBだけれども14位で指名するならこれなら文句ない素材です。
以上の4名狙い。


で、これ、面白くない。当たり前の勝負過ぎて面白くないんですよ。そんなこんなでネタでボルチモア・レイヴンズGM
QB Mac JonesLamar Jackson をトレードできるか?
と問い合わせました。Lamar については彼がチームにトレードリクエストをしたというニュースが出ていましたし、Jones側の不穏なニュースもちらほら見ているので、トレードしても面白いとは思いました。で、問い合わせた段階では、相手の要求が高すぎてトレードできないだろうと思ったら、結構安い条件が来ました。

NE: Mac Jones、2023 1巡、2024 1巡
BAL: Lamar、2023 1巡

目を疑いました。安い。例えば2021年のトレードを思い出してください。Jared Goffと2021 3巡、2022 1巡、2023 1巡 + Matthew Stafford と考えたら1年分少ない。しかも23年の1巡が残ったのもラッキーでした。で、1巡14位は1巡22位に変わりました。QBのLamarに関しては怪我さえなければ凄い選手ですから、許容。
あれ?シナリオが全部狂った・・


で、既にトレード成立してから臨んだ未練杯本番。トレード発表のタイミングを3位指名後と決めて、フタを開けたらもっと凄いことが起こってました。
ただ、1巡22位からジャンプアップする力が残っていませんでした。
CB2名が10位までに消えました。大体予想通り。Broderick Jonesは11位で消えました。14位では取れなかったことと、Paris Johnson Jr.が先だったのは少し驚きました。Peter Skoronskiは14位なら取れたんでしょうが、悩むところです。
で、22位に指名権が移っていたので、ほぼOTも諦めていて、Bijan Robinsonが取れるのか否かをずっと見極めていました。
その間、数本トレードの話が来ていましたがイマイチ決まらないもどかしい時間と、16位のSkronskiが消えたあたりでトレードを思いついて25位のNYGのGMとトレード話を持ち掛けました。
NE: 1巡22位+4巡107位←→ NYG: 1巡25位+3巡89位
Bijan Robinsonが残っていたら22位直前まで回答を待つという話で合意しましたが、19位でTBに指名され破談となりました。
まぁNEのチーム状況考えたらRB指名は結構ありえない話ですが、Robinsonの能力は本当に高いので現実のドラフトでは注目しています。
プランA終了。


プランBを考える間もなく、このNYGトレード破談の直後に来たのが、JAXからのトレード話でした。
NE 1巡22位
JAX 1巡24位+4巡127位
という話でした。NEが誰を指名するべきかを考える間もなくでしたが、一応引っ掛けの意味を持って「誰を指名するの?」と聞いたら、狙っている選手と違ったので即断でOKを出しました。
とにかく2日目用の指名権を稼ぎたいというのが優先でしたので、文句なしです。
で、NEはこの時、誰を待っていたのか?というと
まずはWR Jordan Addisonでした。彼はNEのドラフト前訪問といい結構実際のドラフトで指名されそうな雰囲気が出ているので、どこで指名するかを考えていました。続いて WR Zay Flowers。これも同様です。1巡 WR指名というとN'Keal Harry(2019年)という失敗もありましたが、ビル・ベリチックもDeVante Parker、Brandin Cooksとか1巡WR好きな傾向はあると思ってます。(古くはRandy Mossしかり)
あとはSAF Brian Branch を考えていました。SAFで1巡級となると彼くらいしかいなかったというのが現実。
EDGEのMyles Murphyとはプライベートワークアウトしていますが、やはり1巡でEDGEは指名し辛い。


で、Addison、Flowers、Branchの3名、24位でも高いんじゃないの?という疑問をつけながらも、ゆっくりと21位のLAC以下眺めていたら、次のトレードのお話が来ました。
BUFからトレードに興味があるか?と話が来たので、1巡25位 ←→ 1巡27位 + 4巡130位 +5巡137位と書いたのですが、実は先にトレードのチップで137位が使われていました。(これに気づいたの未練杯終了後でした、スイマセン)
「欲しい選手がいたら検討」ということで待っていたら、A. J. Epenesaに興味があるか?という話だったので、彼を何巡相当で考えるか微妙なところでしたが、正直24位でAddisonもFlowersもBranchも指名したくなかったので、トレードダウンを優先させました。何より大事なのは2日目用の指名権確保。
BUFの指名はEDGE Nolan Smithでした。そういえばスリップしていましたね。ただ、彼は軽そうなんでスキーム的にもNEには微妙だったんで、抜けていました。プライベートワークアウトしているんですけどね。1巡で取るならやはりEDGEよりも大きな穴のポジションがある。


NYG、SEAと、誰を指名して驚かないからこそ、欲しい選手を指名されたくない不安を乗り越えて、27位がやってきました。この段階で違うチームからトレードの話もありましたが美味しい条件じゃなかったので断りました。
27位指名に相当する選手という意味も考えて、
Jordan Addison USC WR
を指名。Mac Jonesだろうと、Lamar Jacksonだろうと、QBが誰でもある程度はイケる素質。スロットレシーバー以外もこなせるという点も加味して、Flowersよりっもこっちを優先しました。未練杯の解説では驚かれていましたが、そもそもNEの穴はWRにある点、この指名は悪くない。そして14位から下げても指名できたのは結構重要です。この後、WRが結構パニックバイのようになった指名が続いたので、これは安堵しました。


さて、チームビルディングの考え方で言うと、今のNEの問題は各ポジションで戦力が足らないというのが本音です。これは未練杯の解説で言われていたことと同意ですが、補強方針は違います。超スター級を沢山入れて強くしようというのも考えもありますが、超スター級はQB、CB、EDGE以外のポジションではありえません。今ドラフトでいえば、Bryce Young、CJ Stroud、Will Andersonくらいしかいません。CBのAqib Talib、Darrelle Revis、Stephon GilmoreとFAから取ってくる方がある種実用的。Chandler Jonesのような感じの選手が2023年のドラフト候補にいたのか?となると微妙というほかありません。だからこそ、コツコツと戦力を拡充する方向に進むわけです。2日目に4人から5人は欲しい。


2日目の注目選手に関しては、別項を設けるとして、Lamar Jacksonが入ったらどうなるのか?問題
Lamar の32MのCap Hitに対して、空きが11MほどでMac Jonesが4.5Mほどなので、数名クビにしないと取れませんね。まぁ候補選手はある程度考えられるのでアレですが、やはりLamar JacksonとMac Jonesをトレードするのは現実的ではなさそうな感じがします。
今回、未練杯を臨むにあたっては、当初のQBはMac Jonesでしたので、それ用の資料とマインドセットで臨んでいましたが、やはり現実のドラフトでも1巡では余程のスリップが起こらない限りCB、LT、WRから指名をするのではないかという予想です。で、残っているのがWRということになる感じ。
とにかく、今回の未練杯はNE担当としては楽しめました。QBの交換は最初に想定していませんでしたが、必要な選手をトレードダウンして取るというミッションが達成できたので90点は出したい、そんな感じです。