境界線

大勝だったサッカーの日韓戦ですが
大変気がかりな記事が出たのに、あまり大きく取り上げられていないことが残念なお話。
それは、ホラリラロこと、サンフレッチェ広島に所属する李忠成選手の「父親」が

韓国でも忠成のことをよく思っていない人は多いでしょうが、日本でもまだ日本代表としての忠成をよく思っていない人が多いです。これから韓日両国で忠成を高く評価する人が増えればいいですね

という言葉を述べたことです。ちなみに選手が在日4世ですよね、確か。
サッカーのことでいえば、現在ドイツで活躍する選手がトルコ系だと移民の3世がメスト・エジル筆頭に活躍していますし、ドイツについて言えばポーランドチュニジアセルビア、ガーナ、アンゴライラン系などの様々な選手がいます(ブラジルから帰化したシュツットガルトカカウもいます)が、それぞれこういったことで「親が、政治的な」発言をしても大きな記事になることがまずないです。
(こういう時に最も優秀だと思うのは、アメリカで、個人には政治的に考えがあるだろうが、「チームは中立で公平である」というスタンスを必ず取るようにしているところ)
ちなみにネットで最初にこの記事を見る前の見出しは

まだ日本代表としての忠成よく思っていない人が多い

という部分がピックされているところに問題を感じます。かなり意図的ですね。
スポーツは競技においては、一切の政治的なモノを考えないでいられるはず(ちなみにSportのそもそもの語源が、「「port」でない」=日常(仕事)でないという意味ですよ)の行いなのに、こういう競技と関係ない信条が先行されるのは、とっても気になるところです。
在日韓国人の子孫だからという理由は、競技に於いては取っ払うべきです、その他はその他の事情がある。嫌う人は、その前の本当に日本人のルーツもないラモス瑠偉とか呂比須・ワグナーあたりどう思うのでしょうかね、その辺の輩に対する心情が私には理解できません。こういう記事がまだある時点では、プロスポーツと言えるのかしら?と疑問が残ります。
さて、こういう記事を見て、毎回思い出してしまう選手がいます。それはフランス代表の、ジネディーヌ・ジダンです。
彼は、ワールドカップ欧州選手権を優勝してから、ことある毎に代表での大舞台での目標を「自分の大会にする」と宣言していました。アルジェリア移民の子供で、1998年の大会ではレキップからの非難の的はまず彼にありましたし、そもそもレ・ブルーも保守的だった考えが中心の頃は黒人や移民も多くいないチームだったことは映像からもまぁまぁ見受けられます。そんな所謂マイノリティーの代表としても、活躍して市民権を得たいという彼の政治的意図が実はあったんじゃないかなぁと思えてならないわけです。(忠成選手の父親と違って、意図を公言して、論争を巻き起こすようなことは、ジダンはしない)
近時、同じようなことを言い出しているのが、アルゼンチン人だけれどスペインでフットボール人生を歩んでいるレオ・メッシ。彼もコパ・アメリカでそんなことを言ってましたね。
今後、そう言った面で個人的に期待しているのはマリオ・バロテッリさんなんですが、イタリアはそう言う点ではファビオ・リヴェラーニという選手が初の黒人、マオロ・カモラネージがアルゼンチンとの混血では8人目とか、大変大変。スペイン代表はそもそも混成国家だけれど、アフリカ系の選手はいたか忘れた。マルコス・セナでも揉めたし、隣のポルトガルルイス・フィーゴのブラジルから帰化したデコ・ソウサに対する小さな発言が大きな問題になったりとか、この辺り、日本では静かに終わる問題で済むから余計に不思議だ。まぁ本当にプロじゃないのかもしれない。色々と。