たまたま見た、ダビド・アルベルダのインタビュー。
その中で「Medio Centro(単純に訳すと『中盤の真ん中』)」という言葉についての
彼の言葉が色々あった中で
ある時の下の日本語字幕は「ボランチ」で
続くある時の下の日本語字幕は「センターハーフ
だったという、何じゃそりゃ?という
中身だった。質疑応答は全てスペイン語だったわけだが
何故かあたる訳語が「2つ」という困る事態に。こんなことをするくらいなら字幕をスペイン語にしてくれりゃなんとか理解してやるわ。


現在読んでいる本において、日本を代表する憲法学者清宮四郎の訳における試みを読んでいることとの雲泥の差に呆れる。

危機の憲法学

危機の憲法学


勿論、日本語でも意義によってあてる訳語が複数という言葉はある。
例えば「責任」という単語は当てる英語が何種類かある。
状況に応じて使い分けなければならない。


で、サッカーは一応スポーツだし
ついでに言えば「システムで戦うわけじゃないから」
当てる言葉はある程度統一して欲しいというのが本音。
もう一つ言うと、サッカーの場合は
「ポジション」、本当に配置の意味で指す言葉と
「ポジション」、敬意を表す様な形での言葉が
混在してしまっている、これがとても気になるところ。
前者は言うまでもなく「ライトミッドフィールダー」と書けば「右サイドの中盤」にいる選手だと解る。(中盤が何ぞ?という点を除けば)
後者の代表例が、「ファンタジスタ」で
あれは一体、どういう意味じゃ?と定義づけることが
できる人間は誰もいない。


余談だが、最近見るCMの「『ファンタジスタ』か『レジスタ』か」という言葉を言っているサッカーゲームのCMは呆れる。頭が痛くなる。そんなことが「サッカーの戦術」だと思っているのか?と。パニーニのカードって「ヒートマップ」があることで有名でしたよね。持ってませんから人から聞いた話ですが。


で、厳密なポジションがまったくワカラン単語もいくつか存在する。
有名なのが「アンカー
これは、
英語で書かれた文章を読むと「リレーのアンカー」のような意味で書かれているが
日本語で書かれた文章は「船の錨」という意味で書かれている。
英語の記事で書かれた最も有名な記事は
レアル・マドリード、ベルント・シュスター監督は、『アンカー』として、セスク・ファブレガス獲得を希望」(2007年のタイムズ)
というか、ここ何年かで、有名どころの新聞では「Anchor」という単語は、まずお目にかからない。
またイギリス人著者の書いた内容においては「21世紀のアンカーはピルロのような選手」と評されたものの、「アンドレア・ピルロがアンカー」というように紹介された日本のサッカー本は見たことがない。


加えて、この単語の最も困っているところは
ワールドサッカーキングという雑誌が
イギリスの雑誌「FourFourTwo」内の記事の「Holding Role」という単語をそのまま「アンカー」という単語に当てたので、さっぱり意味がわからなくなったこと。
(FourFourTwoの記事はネットで読める)


ちなみに、サッカーの単語は、ただ日本語においてのみの問題ではない。
例えば「ウィングバック」に当たる単語は、英語圏以外では多分ない。
これは考えられる理由は2つ。
一つは「ウィング」と答えを受けたから。(英語で想定する「ウィング」と、ラテン系の「ラテラル」の位置が違う)
もう一つは「テルツィーノ」だという認識でしかなかったから。(英語圏の理解に「リベロ」と「5バック」がなかった)
というところ。


どの国においても、多少の問題が生じているし、各国間の差異はある。
ただ、噛むくらいなら「左サイドバック」という言葉はなくそう。
言いにくい単語はやめよう。「レフトバック」「ライトバック」で意味は事足りる。
長い単語もやめよう。毎度毎度、日本人アナウンサーが「ディフェンシブミッドフィールダー」とか言うのはアホくさい。「ボランチ」なら4文字で済む。「インサイドハーフ」なんて長いから「インナー」と言おう。
「サイドミッドフィールダー」とか「サイドハーフ」は長いから「フランカー」と言おう。
「アタッキングミッドフィールダー」なんて長いし「トップ下」という表現は私も好きだ。
ゴールキーパー」も長いから「ゴーリー」で統一しよう。
字数を制限された状態で書くならこんくらいできそうよな。
難しい単語を、ある程度省略した形で表現することは大事。早い時間で相手に素早く認識させる工夫を。


ただ、未だに、「センターハーフ」が「中盤の中央」だという意味で書かれている文章(例えば林雅人の著作)を見ると、

サッカープロフェッショナル超観戦術

サッカープロフェッショナル超観戦術

「どこの問題なんですかね?」って思う。ワールドサッカーをダイジェストする雑誌。
実は「Centre Half」が英語圏の「センターハーフ」で、私たちは「Center Half」なんですとか、言うことかえ?