行ったブリヂストン美術館でキュレーターが解説ツアーをやっていて最初に面白いことを言っていた。
「私たちが、聞かれる質問は以下の3つに集約される」
1.絵がわかりません
2.本物ですか
3.いくらですか
だそうです。これは良いネタを貰った。
2はともかく、3は案外面白い話だよなぁ。しかし、全ての美術品に価格を書いて展示したら、美術館の人の流れは変わるに違いないと毎度思う。このネタを聞いた美術館はそんなに大きくないし(しかし買値が17億円とか、現在の市場価値で30億円とかある美術館だが)人がそんなに来るところじゃないからいいが、大きな美術館の企画展でやったら面白いだろうなぁって毎度思う。

  • 芸術理解

というわけで、選手Eが勧める美術の本としては
とりあえず、日本の美術教育では教師も理解がないので教えることを拒否する現代芸術。

20世紀の美術と思想

20世紀の美術と思想

が一番好きなのですが、はっきり言って哲学、美学にある程度素養がないと頭の痛くなる本です。
谷川渥を筆頭に日本の美術学の教授が懇切丁寧に20世紀の芸術論を語った人間について解説する。時代別、国別に特徴ある作品を解説する。初めて読んだときから良い本だと思ったけれど、入門にはなりません。入門にはならないけれど、他と比較するに現代芸術を解説するには、これくらいの基礎がないと無理だろうと思う
個人的にはイヴ・クラインが現代芸術の代表者の一人として紹介されているのが好き。
続いて、近代絵画以前は絵画は「何を書いたか」ということが求められていたのでそれを詳しく説明した
西洋絵画の主題物語〈2〉神話編

西洋絵画の主題物語〈2〉神話編

1は聖書なのだが、やっぱり内容として聖書より神話の破天荒なネタのほうが面白い。多くの日本人は絵から何を受け取るのかということに関して感性を働かせないし、理性が足りない。理性を補うための格好の素材。
ところで、Eの人は近代絵画、印象派のあたりからの主題が自由になり、方法が開拓された時代、美術の切り口として「青」という色を中心に、芸術史を解説する
青の美術史 (平凡社ライブラリー)

青の美術史 (平凡社ライブラリー)

小林康夫の本は好きなのだが、これは特に好き。表紙はこれまた青が印象的なセザンヌと。
思えば、魁夷も「青の魔術師」と言われているんだよぁってのが、今回のオチです。私は青が好き。