批評になっていない

今更ですが、サッカー批評なる書籍を読みました。

相変わらずの中身でしたが、
ザッケローニを超える日本代表のつくり方」
というタイトルをつけられた特集の中身は論客ごとの意見が根本から違うということが興味を惹きました。
まず最初の論客は「日本サッカーに『世界の壁』なるものはない」と書いています。

続く論客は「壁があって、その解決は、国内から選手が出てこないから、無理」という感じです。端折ると。書いたのは清水英斗。

サッカー「観戦力」が高まる

サッカー「観戦力」が高まる

この人の本は、誰かに聞きました、という中身だけで作られているという、やっぱりサッカー記者は凄いなぁと思わせる質の低い内容で、唖然とさせます。


守備面での日本代表のブラジル戦について専門的な指摘記事があり、鹿島アントラーズオリヴェイラ監督の意見記事も面白いモノがありました。
その次の対談記事では、現在地を見ながら、頂点へ向かう道筋を見るような感じの中身でした。


更なる論客は、ブラジル戦は攻撃で光明が見えた・・・・え守備は?どう解決するの?西部謙司大先生?

サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本

サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本

このあたりは、西部信者の皆様に教えて貰わないと、僕には分かりません。
西部先生の戦術本は、立ち読みで読むと「ここの元ネタは、この本」とか見えるのが面白いですよね。


さて、批評と銘打って、様々な意見が出ていて、発端はどこからあるのかを見るのは面白いのですが、問題は意見があっちこっちの方向にバラバラに出て、誰も意見をぶつけ合う、意見をまとめ合う、ことをしないんですね。そして批評と銘打つ割には、文章の裏にある元ネタが何かが分からない。
そんな批評になっていない部分、雑誌なんだから、編集する人間が集めてこないとなと思うのは、私だけなのでしょうか?あの雑誌の信用の無さは、其処にあります。


それにしても、サッカー記者2名は、「かなり上から目線で、頂上から遠いから無理」と突き放している感じ。元監督や現監督の人たちは「現在地から見て、遠いけど頂上は見えるから、なんとか」と態度が全然違うのは何故なんだろう?

私も、いつか日本代表がジュール・リメ杯を掲げる日を待っていますので、「無理」であっても、目標を達する道筋を、一歩一歩考えるのが、「戦術」や「戦略」といった部分だと思うのですが、戦術なんちゃら、といった類の本を書いている人間が、半ば捨てているのは興味深い。
そういや、戦術クロニクルとか戦術レストランには、日本代表無かったよな。

サッカー戦術クロニクル

サッカー戦術クロニクル

戦術リストランテ

戦術リストランテ

戦術や戦略というお話は、やっぱりそもそも経営戦略のお話を読む方が面白いですな
戦略論 1957-1993 (HARVARD BUSINESS PRESS)

戦略論 1957-1993 (HARVARD BUSINESS PRESS)

サッカーと経営戦略を合わせて考える著作は、日本人作者以外の本は何冊か邦訳されています。