翻訳という仕事は大変なんだけれど
大変さを説明できないような、ヘタな訳本を見ると
悲しい気持ちになるよね。


amazonで見てビックリしたんだが

グアルディオラのサッカー哲学

グアルディオラのサッカー哲学

と同じ著者の作品だった。
ジョゼップ・グアルディオラに続いてジョゼ・モウリーニョだったのね。
フアン・カルロス・クベイロ、レオノール・ガジャルドによる著作。
モウリーニョの哲学

モウリーニョの哲学

はっきり言うと、モウリーニョを素材にリーダーシップを勉強しましょうという本。
特に際立って面白いわけでもなく、発見という点ではペップの本の方があった気がする。


さて、この本の問題は翻訳者の力量の問題である。
この翻訳者、略歴を見ると英語とスペイン語の翻訳をする人らしいのだが、女性である。
で、登場するサッカー選手の名前がときどきオカシイのである。
xaviを「ハビ」と読んだ部分は驚いた(しかも後半は「シャビ」と書かれてある)し
ポルトガル人をスペイン語読みするのである。これは正直驚きである。
それなのに、「ホルヘ・コスタ」と「ジョルジュ・コスタ」表記があるのである。
これから推測するに、翻訳者も誰かチームに下請けさせたわけである。(翻訳協力と裏にもある)
そうなると、統一する役割が必要であり
「監修、吉崎エイジーニョ」とまで書いてあるではないか!
が、この有様である。この監修者は監修の役割をまるで全うしていない。
サッカー本の手抜きの典型。
ちなみに、ペップとジョゼは出版社も違っており、ペップの本の翻訳は記憶に残るマズい仕事はしていない。


もう一つ、訳注を入れるなら、入れろよ!ってお話を。
レアル・マドリードについて語っているジャーナリストの中に
「ジョン・カーリン」という人物がいる。
紹介の文章では、「ネルソン・マンデララグビーワールドカップを通じて、国を一つにしようとした彼の成功を描いた小説を書いた作者」とあるのだが
確かに、クリント・イーストウッドの監督脚本によって映画化された「インビクタス」は彼の著作である。

インビクタス 負けざる者たち

インビクタス 負けざる者たち

では、何故「ラグビーについて書いた作者がメレンゲスについてあれこれ言うの?」の疑問は解消しない。
知っている人間だけがわかるような部分にこそ訳注もしくは注意書きが必要なはずである。
カーリンは、かつてデビッド・ベッカムレアル・マドリー移籍最初の単独インタビューのインタビュワーであり、著作があるわけである。
白の軍団 ベッカムとレアル・マドリードの真実

白の軍団 ベッカムとレアル・マドリードの真実

サッカーにおいての彼の実績は確かにエル・パイス等の寄稿もあるが、著作についてスルーはおかしい。
私は、テニスについて疎いので、彼がラファエル・ナダルについての著作があったことは、amazonを開いたときに知ったことだが。
ラファエル・ナダル 自伝

ラファエル・ナダル 自伝

検索をかければ、分かるといえばそれまでだが、関連性のない単語に架橋する役割は「監修」もしくは「翻訳」の腕の見せ所だと思うんだけどね。
とりあえず、手抜き本はイカン。