ルネ・マグリット 「光の帝国」
私がシュール・レアリズムの画家の中で一番好きなのは、このマグリットである。中でも作品として一番好きなのは「リスニングルーム」であるが、展示には無かった。この「光の帝国」は、絵の上側では昼のような明るい世界で青空と雲が描かれているのに、下では夜のような町並みが描かれ街灯の光が明るく自己主張している作品である。一瞬気を抜かすと、それは何の主張なのか分からなくなると思うが、よく注目すれば上と下での世界の違い、上下を貫く光の主張。そう考えると、この世界は現実のように見えるが実は全然現実でも何も無くなってしまっているのである。2つの世界の組合せが一つの全く非現実を生み出したのである。