帰省していたとき分Part1

  • サム・フランシス「消失に向かう地点の青」1958

「外に広がっていく色、外に侵出する力の強い色」として使われた青を中心に、偶然を装った絵画であるが、青を際だたせるために対置してある余白部分によって、動きが何かあるように見せつけられる。余白とともに青の中に見える黄色も大きく役を買っている、消失は見る人間によってどこにあるのか変わるだろうが、消失という動き有る言葉に絵画の強い印象がある。

イヴ・クラインである。特徴であるIKB、その後ろを飾る鮮やかな金色。アルマンという人物の日常的側面を、色によって全くの非日常的物質に変えてしまっている。人物が全てIKBに取り憑かれてしまっている。この作品に使われている2色は西洋絵画において、超越的色彩を意味する金色、天上の色彩、深い精神性を意味する青色、なのだから。

ピカソの「青の時代」の一作品である。ピカソに見える青は深い悲哀、死、離別、憂愁を意味するようなニュアンスがある。全てが同系の色で塗られることでモデルの個性さえも青によって塗り替えてしまう。まるで自然に無い世界を作られてしまったのである。内省的な世界。そして単一的平面の構図。絵画にしか可能でない世界がキュビズムピカソとは別にある。