今季のチャンピオンズリーグのテーマは実は「暴力」だったのかもしれない。
まず代表的な例が準々決勝のミラノダービー、暴徒化したインテリスタを止めることができなかった。イタリアといえば、グループリーグ第1節、ASローマスタディオ・オリンピコティフォージの投げたモノ(コインとか、ライターとか言われたが結局何かまでは判明していない)が主審、アンデルス・フリスクの頭部にヒットして、流血。試合途中で終了した。皮肉なことに今季のイタリアのクラブは20年前の悲劇的なヘイゼルの悲劇以来のユヴェントスリヴァプールの試合が行われたが、ファンによる和解が訴えられる中、ユヴェンティーノの中には指を立てたり、背を向けたりしていたファンがいたのも確かだ。ミランは唯一、紳士的ということだろうか、サン・シーロでのFCバルセロナとの試合では、差別撤廃を訴えるユニフォームで出場していた。
暴徒化しないまでも、暴動寸前だった試合もあった、メスタージャでの最終節、2位の座を賭けた試合の中で、ネルソン・バルデスのゴルフのマネをしたアクションに対し、ファンはモノを投げる大騒ぎ、集中力を切らしたミゲル・アングーロの一発退場、ヴァレリアン・イスマエルの肘打ち、そしてファビアン・エルンストの指立てと、チャンピオン同士の戦いとは言い難い紳士さの無い試合だった。
因縁がどれだけ有ろうと、ジョゼ・モウリーニョと握手するファンに混じってツバを吐き付けるFCポルトファンが発生したこともあった。
暴力は言葉によっても行われる、レアル・マドリードのホーム、サンチャゴ・ベルナベウでモンキーチャントのなかった試合もなかった。カンプ・ノウでも若干聞こえる。そんな黒人差別は、スペインだけでなく、スタンフォード・ブリッジでも発生し、素晴らしい試合だったチェルシーバルサに苦い後味を残した。
試合場外での暴力もあった、カンプ・ノウで疑義を立てられたアンデルス・フリスクは家族にまで脅迫を受け、ついには審判業を引退してしまった。これは前代未聞のことだ。
実際、選手による暴力、アドリアーノのパンチ、フランチェスコ・トッティの踏みつけ行為など、かなり酷いものだったが、それ以上の悲しい出来事が多かった。