シェフチェンコに三顧の礼。

ウクライナ代表 0-1 日本代表 7/100
アンドリー・シェフチェンコアンドレイ・ヴォロニン、アレクサンダー・ショフコフスキー等がいない1.7軍メンバー)
日本代表は決定力がないのではなく、展開力がないのだと思う。
今日はそれを見ながら考える。
「展開力がない」というのはどういうことかをまず書きましょう。
これは決定力以前の問題ということです。決定力を問題にする選手ははっきり言えばフェルナンド・トーレスとパトリック・クラフェルト、クリスチャン・ヴィエリくらいなものってわけですよ。あとはロナウド
日本代表の場合は決定力を言う前に、決定的な場面を作る回数がどれだけあるかということ。分母が多いのか少ないのか考えた場合、多いわけではない。ボールポゼッションはあるにもかかわらず。これは考えた方が良いと思う次第。
ということで今回までに思う日本の結論は

ブリッジおよびフルバックがかなりダメ

日本代表で言えば前者は稲本潤一福西崇史遠藤保仁中田浩二とか。後者はアレックス、加地亮とかその辺。
今回のウクライナ戦で数えたのは「自陣からのボールをどのような攻撃につなげることができるか」ということ。結果的にはDFからのロングボールを一度も見方は有効な攻撃につなげることはできず、ボランチの選手はボールを取りにもらいに行かないので、常時中盤とディフェンスラインに間があり、(もちろん、これはディフェンスラインが深すぎることも原因。これは別論)ショートパスを前に出したところで潰され、日本の中盤の選手がボールを持つことができなかった。自陣から一人で持って効果的なパス、ドリブルを供給することのできる中村俊輔中田英寿がボールを持つと2,3人でウクライナの選手が囲むことに対し、日本はフォローが皆無。自陣からの効果的な攻撃は、たった一度。後半にあっただけ。
日本は中村、中田などバイタルエリアで前を向けば攻撃を展開する選手はいる。ところが前を向く機会がない、前を向いたとしてもかなりの確立で相手選手の数は揃っている、というわけでFWが決定力云々を言う前提がない。
つまり、ディフェンスと攻撃をつなぐ役割を果たす選手がいないのである。この役割を果たすのがブリッジおよびフルバックである。アンドレア・ピルロが代表例(今回で言えば、ウクライナアナトリー・ティモシュチュクは非常に模範例だ。常に自分のマークは外し味方の位置を全て確認しパスを供給)だがディフェンスラインからボールを受けて良いボールを前に供給する選手。稲本や中田浩二から良いパスの供給*1は出ない。パスでなくてもフランク・ランパードスティーブン・ジェラードのようにドリブルで崩しにかかることもあまり見たことがない。アンカーマンも中盤には必要であるが、それだけで全てというわけではない。まして日本のセントラルハーフはアンカーマンというにも不十分であり、ましてブリッジにすらならない。まさしく中盤の中にいるだけの選手状態だ。
ところで、中盤でブリッジがいなくともサイドから相手を崩して攻撃をすることも考えられる。その場合、大きな役目を果たすのがフルバックである。レアル・マドリードのようにボランチは潰し屋であるパブロ・ガルシアで攻撃面の貢献は薄いが、サイドからミチェル・サルガド、ロベルト・カルロスが労を惜しまず上がってくる。上がることで相手マーカーはもう一人分、配慮しなければならず守備に苦慮するわけだが、日本の場合、アレックスは肝心の場面で上がらず、どうでも良いときに1対1を仕掛け速い攻撃をできなくするし、加地(今回は駒野だったが)も上がる回数が少なすぎる。その為、日本の中盤の選手がサイドに行けば囲まれて取られるだけという状況。中田は何度もサイドで潰されて終わっていた。
これの原因として日本のディフェンスラインが深すぎることが考えられる。フルバックがあがれない。セントラルハーフにボールを供給するには間隔がありすぎる。ということでロングボールを選択。日本のDFに往年のフランク・デ・ブールシニシャ・ミハイロビッチのような選手はおらず、ましてローター・マテウスフランコ・バレージのようなリベロもいない。そして前半に迎えたピンチを深すぎたディフェンスラインが原因だった。画面で一番驚いたのは前半5分のシーンでディフェンスラインと中盤にもの凄い開きがある。守備に関して、中盤の選手のケアがないことも見えた。
展開力は何も何人かの選手が有機的に機能、システムをああしろこうしろとか言うことを必要としない、スペインが今回のW杯予選で苦しんでいる、ヤンカウスカスやジキッチにハイボールを入れるて時間を稼いでシャドーフォワードが狙うことだって素晴らしい展開力だ。日本にはその前提がないということを個人的に思った。
展開力がないからカウンターがない。今回も日本のカウンターはゼロだった。
思えばポゼッションサッカーをするブラジルにカウンターでやられた日本。あれは数ヶ月前のコンフェデレーションズカップだった。何も覚えていないのね。ジーコって人は。ドイツは待っているわけだが、多分、ドイツはアウシュビッツ以来の惨劇の博物館になってしまうことだろう。

*1:中田浩二ラトビア戦の失点になったのは前に出せないから横に出してしまったというだけのこと。ポカをいうなら個人もあるがチーム全体のポカに等しい