• FK職人

チャンピオンズリーグマガジンを見ていたが、第3節のベストゴールにデビッド・ベッカムは入ったが、ジュニーニョ・ペルナンブカーノは無かった。何故だろうか、これを真剣に考えてみることにした。
ただ結論を言うと、意味不明。極論付ければベッカムのほうが有名というところだろうかな。個人的にはジュニーニョのドロップするフリーキックのほうが美しく思えるわけだが。
ただ、現在の欧州サッカーでフリーキックの職人の横綱の東西はこの2名と言って差し支えないと思う。何故彼らかと言えば、彼らは「誰が蹴るか」で期待するのでなく「どうやって蹴るか」を期待させるから。(残念ながらインテル・ミラノシニシャ・ミハイロビッチも天才的なのだが、インテルは蹴る人間が多すぎる、同じようにACミランも3名の素晴らしいキッカーがいるてんでバラバラな、バルサロナウジーニョが殆どを蹴るわけではない、バイエルン・ミュンヘンも同様)
ミスター50%と言われるジュニーニョ・ペルナンブカーノが凄いのはフリーキックのシュートだけで6種類くらい持っている。チャンピオンズリーグ、ヴェルダー戦の無回転で揺れながら落ちたり、回転をかけて落としたり、縦回転のキック、加えてインスイングで味方に当てることだってやっている。多彩なキックがあるためにGKとしても辛かろう。まして無回転は分かっていても取ることは難しかろう。
ベッカムといえば周知の人だが彼のフリーキックは殆どがインフロントキック(残りはインサイドキックでバックスピンをかけながら蹴っている)で速い軌道で曲がり落ちる。彼の場合はゴールも期待できる(ベッカムはゴールを狙う場合、GKの動きをしっかり見て狙っている、彼の洞察はなかなか鋭い)わけだが、彼の凄さはピンポイントで味方に合わせることができる技術。その為、彼の場合は、直接ゴールすることもさることながら、誰かがヘディングで合わせてゴールが決まるという期待が膨らむ。
この2名と比較すると、他チームで色々なキッカーを見るが劣っている気がする。
(ちなみに彼らに追随する名前としてはマルコス・アスンソン、彼の場合は右足から回転しながら曲がり落ちるキックが魅力的だ。フランチェスコ・トッティ、彼の場合は曲がり落ちるキックもあれば、無回転でホップして落ちるという奇跡的なショットもあった、しかし彼の場合、決定率が低い。フランク・ランパード、速い弾道でスライスするシュートと、インスイングのシュートを持ち、後者の場合は中の選手に合わせることもできるが、いかんせん彼も決定的な場面を作ることは少ない。ルイス・フィーゴのインスイングのシュートはかつては決定力もあり、中の選手に合わせることも多かったが彼の場合、ベッカムに比べるとスピードと角度の面で落ちる)
そんな両名が対峙したUEFAチャンピオンズリーグ第1節、スタッド・ジェルランでのオランピック・リヨネーレアル・マドリードジュニーニョ・ペルナンブカーノが蹴った2本のキックはゴール(1本はヨン・カリューのゴール、そして無回転の130km/hの30mシュート)に吸い込まれ、ベッカムの蹴った2本のキックはゴール(特に前半4分のシュートは惜しかった)から見放された。第5節はどうなるやら。
ちなみに、第2節のベストゴールはベンフィカシモン・サブロサだった。あれはなかなかのフリーキックだった。
そういえば、今節、世界の東ハト中田英寿選手がフリーキックでゴールを決めたが、日本代表で誇るべきフリーキッカーはいないなぁ。ナカムーラはピンポイントだが高く浮かせるためスピードがない。ジョニーより拙い足。