土曜日はあまり面白くなかったので割愛。
問題は、日曜日のノースロンドンダービーのお話である。
この試合、今季のアーセナルにとって一番のデキだったと私は思っている。戦略的にしっかりと錬られている感がしたのは確かだ。それだけトットナム・ホットスパーという北ロンドンの隣人には勝たなければならないのだよ。
ポイントは、毎度毎度4-5-1という布陣でやっている彼らがワントップを孤立させてしまうことにあった。だから今回のアーセン・ヴェンゲルの工夫は、とにかくロビン・ヴァン・ペルシーとの距離を空けすぎないように誰かが入る、ジェルヴィーニョアーロン・ラムジーテオ・ウォルコット、が入る約束事が攻撃に於いてはしっかりしていたのである。この戦術で割を食ったのは、攻撃的と思われている存在のミケル・アルテタ。彼はとにかく中盤でバランスを取る役割。しかし、そんな上手くいっているのに、それでも得点に至らないからフットボールって面白い。決定的なシュートの場面なんかはあとは決めるだけだったのにねぇ。
さて、もう一点、注意するべきは、一番頑張るべき存在が中盤の守備を引き受けるジャック・コクランという若い選手。この選手、地味に走らないのである。守備は上手い、そんなに技術も下手じゃない。ところがスプリントの回数とボールを未然に防ぐ回数の強い印象がない。ここがもっと頑張っていたら、1失点目は防いでいたかもと思ったり、試合全体でもっとトットナムの攻撃を防いでいたかもしれないと私は思う。何せ、センターハーフ2枚(しかも1枚が本職が中盤のアレックス・ソング)に対してセンターフォワード2枚とラファエル・ファン・デル・ファールトではやはり数的におかしい。ただあの場面、シュートが格別上手かったのは確かだが。ハンドっぽい。
で、今度はどうやってアーセナルが点を入れるかと思ったら、往年のガナーズのお得意芸、数で押し込む形が偶然にもできた(コーナーキックの崩れた形)ので、ソングが左から上がってクロスを入れたらラムジーが合わせてゴール。この場面、コメンタリーはこぞってもっとしっかり守れと、右サイドのファン・デル・ファールトを責めていた。これは当然。
1対1の均衡状態になったので、さて采配は如何にと見ていたのだが、残念なことにヴェンゲルにアクシデント。バカリ・サニャが怪我で交代、入れたのがまだ19歳という年齢のチャールトンからの新加入カール・ジェンキンソンが入る。彼が狙われて負けた試合もあったので、続いて右の守備強化の為に(コメンタリーの解説では明確にこう言いました)ヨッシ・ベナユンを投入してしまうのである。しかも下げたのがウィング、ウォルコット。つまり1枚攻撃の脅威が減る。続いて3枚目の交代が失点後のアンドレイ・アルシャヴィンジェルビーニョと交代)だったわけだが、最終的にワントップのフォローが足りなくなって攻撃が機能して行かなくなる様はガナーズの戦力の底が尽いた証左にも私には思える。余裕の交代だったスパーズとの戦力差だった。
ちなみにこの試合の決勝点は、カイル・ウォーカーのミラクルなミドルシュートが無回転でいきなり変化したのでGKも取れない素晴らしいモノだった。よくある試合展開で、膠着した試合で予想外の一発で試合が決まってしまう。戦術的とかへったくれもない試合でした。スパーズが優秀だったから勝ったわけではない。ガナーズが自滅したのである。