丸山真男の「自己内対話―3冊のノートから」で「自分の葬式にはこれをかけてほしい」と書いたのがフォーレのレクイエムである。タワーレコードで色々物色しているときに、これがかかったのであるが、テンポ設定としてはキリエの部分が速過ぎて好きになれない演奏だった。私もこのレクイエムが好きだ。特に「キリエ」と「オッフェントリウム」、そして「サンクトゥス」が好きだ。
私の場合、葬式にはブルックナー交響曲7番と8番のアダージョをかけてくれ。通夜ではマーラー交響曲6番、7番(ただしフィナーレは不要)、9番、10番(2,4,5楽章)をかけてくれ。死後1年経ったら「復活」をかけろとでも遺書を書くことだろうな。綿密に。ところで、ブルックナーの7番というチョイスは、かのアドルフ・ヒトラー総統も自分が死んだときにラジオから流したのである。まず、ワーグナーの楽劇「神々の黄昏」からジークフリートの葬送行進曲をかけたあと、当時まだ世界的に知れ渡っていないブルックナーを。演奏はフルトヴェングラーベルリンフィルだったかな。確か。
最後にどうでもよいことを書くが、フルトヴェングラーが録音媒体に対し、意見を和らげるきっかけになったのは、ラジオから流れた自分の演奏したブルックナー7番の第2楽章を聴いて以後である。