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2.内容と結果の問題は、全て戦術という論点に収束するのでしょうか?
現実の試合における、戦術によって、勝敗が決するということはあまりないと思うのですが、如何ですか?その上で、戦術分析がマッチレポートであったり、試合分析の主眼になるという考え方が実のところ理解できません。戦術が明らかに拙くてもなんとなく入った1点で勝ってしまったラッキーとかどうなるのでしょう?
 例えば、4-3-3のフォーメーションのクラブチームが、攻撃に於いて2-1-4-3になることで勝つことに繋がるといったり、3-5-2のウィングバックが下がりすぎて5バックになってしまったのでチームがうまく機能しなかった等の短絡的な言い方です。またそれぞれのフォーメーションの持つ長所短所の紹介のみになることもです。
 システム、特にフォーメーションの表記というのはあくまで便宜的なものであると思う私の立場からは、その要因、おそらくマッチアップによって相手を圧倒するから相手を陣地に押しやり「たまたま見えるに過ぎない」結果であるわけだし、押しやった要因についての分析を見ることが希です。
 相手選手の裏を付くことで、相手側が裏のスペースを消すことを意識して、「敢えて」下がるということも考えられるし、「仕方なく」下がらざるを得ないということも考えられるわけですが、そういったことへの言及などです。最近ではチャンピオンズリーグ決勝のマンチェスター・ユナイテッドは何故後半になってプレッシングを止めたのかを考察する際に、単に「疲労」だけで説明している人間に戦術の分析という回路はないに等しいわけです。
 あと、私が覚えている、戦術によって試合が決まった試合というのは、数えるほどしかありません。

マルチェロ・リッピ下のユベントス、2003年のチャンピオンズリーグバルセロナ戦。マルセロ・サラジェタの投入、アレッサンドロ・ビリンデッリの投入と配置転換が、相手の弱点にピタリとハマってアウェーゴールを延長戦で突き刺し勝利。
 それよりも、むしろ数が多いのは、戦術的要因以外の勝利と推測できるものです。チーム全体はうまく機能しているようには見えないのに、なぜかシュートがゴールネットを突き破り、気づいたら勝ってしまうと言うような試合は年に何度もみているわけです。昨年の有名な試合では、FA杯準決勝のストークの勝利など、最初の2点がその最たるものです。このような試合はどのような戦術考察がなされるのでしょうか?