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3. 戦術分析をする人間としては、チームはどのように見たらよいのでしょうか?
 チームを評価する場合、特定の選手、特に技術力の高い選手の頭数を以て高い評価を下す人を散見します。チームはこのような「足し算」のような考え方で評価することが良いことなのでしょうか?私は技術の高い選手が、何故活躍できるのかという要因「チームは何故、選手を活躍させることが出来るのか?」を考えたいのですが、そういうことは邪推なのでしょうか?
 例えば、マンチェスター・シティーはエディン・ジェコセルヒオ・アグエロダビド・シルバが攻撃に絡むから強いと書くような言い草です。私は、攻撃に多く関与する選手だけでなく、様々なポジションの選手を見るのが好きなのですが、この論法で行きますと、ディフェンダーの評価はどうしたら良いのか悩んでしまいます。このようなことを書くと、21世紀前半にフットボールの考え方に大きな変化を及ぼしたクロード・マケレレの存在がまた石ころのように忘れ去られてしまうことにも成りかねません。また2002年のオランダ代表のパトリック・クライファートルート・ファン・ニステルローイという欧州を代表する素晴らしいストライカーがいながらも、互いにポジションが被ってチャンスを潰してしまって試合に負けたことも説明が大変になるかと思います。
 また私は色々と移籍市場に目を通すのが好きなのですが、時に前に活躍していたチームから期待以上の大きな活躍をしたり、逆に前所属チームから考えられないほどの活躍のない事実に遭遇しますが、こういった場合に、「戦術が個人をスポイルしている」もしくは「個人が戦術にフィットしない」と考えてしまうことは正当なのでしょうか?こういうことこそ、特に戦術分析に相応しい素材だと思いますが、案外こういうことへの追求のある文章に出会うことはまずありません。このようにゼネラルマネージャー(GM)ないしテクニカルダイレクター(TD)的な見方をすれば選手評価、ある特定のチームに来たらもっと活躍するだろう、というような目立ては、どのようにしたら可能になるのでしょうか?前述の足し算的な発想で全て解決するようには思えません。