日本 4 - 0 カザフスタン

先制点が早く決まりすぎたせいなのか、相手がやる気なかったのか緊張感をあまり感じない内容だった。点数を与えるなら、10/100くらいで充分に思う。まぁ酷いこと酷いこと。アジアで通用することが世界で通用しない、ドイツ戦で顕出した弱点をまるで訂正されていない攻撃・守備は不安を感じないではいられない。以下、仔細に書いていこう。

1. 中盤の守備

確かに、玉田、鈴木が前線からチェックをしているのである。ところが中盤で相手にかなりフリーのスペースを与えている。カザフスタンにドリブルで切り込む選手がいなかったので引き裂かれることはなかったものの、後半にはついにショートパスで繋がれてゴール前まで行ったシーンもあった。前半も相手の拙いキックの精度のおかげでピンチになることは少なかったが、ディフェンスラインが下がりすぎている影響で中盤のチェックがしっかりカヴァーされていないこと極まりない。

2. カウンター攻撃

この試合、カウンターでシュートまで行ったシーンがゼロだった。日本代表がである。これは世界でもポゼッションサッカーでやっていくことの表れならわかるが、今日の試合のような相手にあれだけのスペースを与えるサッカーをやっていたら、相手の足元の技術が高い場合、ボールを奪えないことも多いであろうに。何がカウンターをさせなかったのかを考える。

2-1. 小笠原満男

この試合、小笠原満男の前半は酷かった、カウンターで小笠原にボールが渡った場合、小笠原はほとんどボールを戻していた、攻撃に行こうとしない、ついでに小笠原を抜かして攻撃に出ようとする選手もいなかった、福西、遠藤保仁、アレックス、加地、皆どこにいたのだろうか、心配であるが、そもそもトップ下でいながら攻撃しようとしない小笠原も信じられない。

2-2. サイドプレイヤー

サイドの選手はアジアカップの失点以来、3バックに吸収されて5バック状態になることが多い。確かに加地は攻撃の武器として機能した。しかし、そのシーンは全てボランチが溜めてから、上がりだすシーンだった、アレックスの効果的な攻撃は後半の4点目が決まった以降だった、ウィングとしてどうして配置されているのかを理解していないとしか思えない状況だった。

2-3. 2トップ

玉田と鈴木という2トップは高さのある鈴木に当てて玉田が衛星として攻撃しているなら面白いと思うのだが、鈴木が高さで競ったボールを玉田が拾って攻撃に至るプロセスを見ることはなかったし、鈴木からのポストプレーで攻撃というシーンもなかった。チェックはよくしていたと思うが、チェック後の攻撃が中盤の選手との連動がない。つまり守備すること自体が逆効果。

2-4. ディフェンスライン

明らかに下がりすぎである。相手に中盤でのフリースペースを与えた要因である。コンパクトに相手を抑えようとしない。もしドリブルで引き裂かれたら、シュートパスで上手く繋がれたらという仮定を感じない。ただ相手が弱いことに順応して見事に対応しているが上の段階のレベルではない。コンパクトに相手を追いつめることができたなら、カウンターはバリュエーションを増し、多彩な攻撃をすることもできたであろうに。

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欧州にも、3バックのクラブはある。ではそのようなチームとドコが違うのかを考えてみる。個人的に資料も少ない(欧州の一流クラブはほとんど4バックだ)ことから、ディナモ・キエフバイヤー・レヴァークーゼンしか出せないが、この2チームに高純度の戦術を分析してみる。
まずは、攻撃である。常にこの2チームの攻撃はサイドに2人いる。日本ではサイドで1人がボールを溜めてもう1人が抜け出すという攻撃の形を見せたことはほとんどない。FWがサイドに張っているときにだけ可能となるがそれではセンタリングをした際に中がカラッポである。
次に守備であるが、優秀なボランチ、アタンダ・ユスフ、カルステン・ラメロウのおかげで底に1人で充分と言う状況になっている。そのためにセントラルの2人は縦横無尽に攻撃する。勿論、底の選手も飛び出して攻撃する。日本の場合、ボランチの選手のドリブル突破による攻撃、サイドに出てからのセンタリングはない。相手にマッチアップされてお仕舞の状況を自ら作っている。2ボランチで日本は何か困ることがあるのだろうか?考えてみるに、アレックスに守備の問題が有るから、常にボランチのどちらかが見張っていないといけないのだろう。福西は目立つこともなく左で立っていた。攻撃参加もゼロ。
次にディフェンスラインだが、高く、マンマークを徹底する。これによってカウンターを可能とさせる。3-5-2というシステムの特徴である2列目の数的アドヴァンテージの効果を発揮できるのはカウンターの時である。常にパスとシュートの選択肢をちらつかせることで相手の守備を困惑させることができるのだが、日本の場合、画面に入らないほど引いていた。これではボランチは守備バランスを考えることで頭がいっぱい。サイドプレイヤーはスペースを作らせないことで頭がいっぱいになるだろう。

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最後に一言、ジーコの選手交代の少なさはどうにかならんかね。