さて、問題だった国の続きで、ブラジルとイングランドである。
セレソン・ブラジレイラの問題は何だったか。それは選手選考に尽きる。
まず、ラテラウエスキルドに関しての問題。所属クラブでは右のウィングであるミシェウ・バストスが6番を付ける不思議。数多くの選手を試した末の結論がこれかという感が残る。フェリピ・ルイスがケガで欠場という事実があったとしても。
一番の問題は、攻撃陣にある。エラーノ・ブルメルがケガをしてからの攻撃の迫力は明らかに落ち、控えで用意していたのがジュリオ・バプティスタくらいしか見あたらないというのはどういうことだと。そもそもバプチスタも専業的な攻撃の選手でもない。
総力戦も考えられる大会に於いて、ドゥンガは自分の好きなタイプの選手に拘泥した故に、10人になってしかも相手にアドバンテージを許している状況で、選手投入がルイス・ファビアーノからニウマールのアタッカンチの交替のみで流れを変えることすらできなかったと。盤石な状況で勝つのは理想だが、困難に直面した時に打開策がないのは、いけないと思い知らされた。
同じ事はイングランドにも言える。大会前の23名発表で、国内の識者から言われたのは「ラッキーボーイになりそうな選手がいない」ということだった。若くて才能のある選手、一番期待されたのはテオ・ウォルコットだったが彼は手術以降確かに落ちたのは確か。しかしクロアチアハットトリックを決めたときの彼の姿が印象にある人たちにとっての期待は彼だった。私はアダム・ジョンソンが何かできるかもしれないと思ったが、彼も落ちた。彼の落選によって左利きの攻撃的な選手がいなくなってしまったのは、攻撃の面で面白さをなくした。フォワードの面子に関してはウェイン・ルーニーが点を取れなかったのは残念だが、あまり文句はない。むしろルーニージャーメイン・デフォーを組ませたのは意外だった。エジプト戦で失敗したコンビである。
さて、彼らが敗れたドイツとの試合であるが、あの1966年を思い起こさせるノーゴール(66年はジェフ・ハーストのゴールが決まったのであるが)が決まっていたとしても、100点の結果を取りに行くのに、80点の内容の面子(ベッカムファーディナンドの欠場は痛い)となり、諸々の事情で8割ほどの実力しか出せなかったのなら、60点のチームに成り下がる。さすがに60点では優の結果はないという納得を私はしている。仮にドイツに勝ったとしても優勝まで届くとは思えない、残念ながら。