さて、南アフリカで行われたワールドカップを振り返るのであるが
全体的な印象は、大方の皆様の予想通りに、守備的な戦いで、スペクタクルよりも勝利至上主義になりました。したたか。守備が素晴らしいところが優勝に近づいたというお話。
さて、大会の中で、ベストチームはどこだったのか。
私は準々決勝で敗れてしまったが、ガーナを挙げたい。
グループリーグは得点がPKしかなく、3戦目、有利な立場であったが故にドイツには破れたわけだが、このチームは素晴らしかった。
基本線は4-1-4-1。バックラインを中心に守備での規律が非常に良く、相手に対してのアプローチはほぼ完璧。フレキシブルな対応は綺麗と。あと得点力および攻撃に充実があればもっと上に行けたのかと思う。アサモアー・ギャン以外のストライカーがいなかった。
選手名を挙げると、中盤の底で守備的にも攻撃の組み立てにも素晴らしかったアンソニー・アナンローゼンボリ(昔は13連覇し、ほぼノルウェー代表状態の北欧を代表する名門クラブ)所属の選手だが、彼は現在イングランドチェルシーがアプローチしている、今季この役割を担ったジョン・オビ・ミケルよりも私はポテンシャルが高いとすら思う。(ミケルもノルウェーはリンから移籍した)
知名度の高い選手としては、ライトバックのジョン・パントシル。彼は大会を通じて高い実力を示した選手。同じポジションではフィリップ・ラームセルヒオ・ラモスも良かったが彼も忘れてはいけない選手である。ウルグアイ戦も120分切れないスタミナ。攻撃参加、守備も無難と。4年前はイスラエル国旗(当時はハポエル・テルアビブの選手で感謝の意だったらしいが、FIFAに叱られた)を掲げた彼だが、ガーナ国旗を持って会場を走っていたのは、個人的には感慨。フルアムは良い選手を仕入れたものである。
そして、ドイツから国籍変更でガーナ代表となったケビン・プリンス・ボアテングFA杯決勝での悪質なタックル故にブーイングを浴びたり、兄弟対決をしたりした彼だが、アメリカ戦のゴールといい、クラブでの彼以上にシュートやクロスの質が高い活躍をしたことには、ポーツマス等での彼を見ていた私は驚いた。(FA杯決勝ではPKを失敗して、そして負けた)
他にも選手を上げると、リチャード・キングストン"キングソン"、ジョン・メンサー、クワンドゥ・アサモア、ハンス・サルパイと良かった。出場時間は多くなかったがスレイ・ムンタリ、ステフェン・アッピアーは魅力を発揮した。アムディ・ペレの息子アンドレ・アイェウマルセイユの時には、まだ粗い原石の状態だったが今後磨き抜かれる可能性を見せた。天性のスピードがある故に今後の成長次第といったところ。
その魅力的な選手が集う彼らが負けたのは、あのギャンのPK失敗、そしてPK戦敗退であるが、彼らはその上の舞台で戦ったとしても、どの3カ国とも互角の戦いができたのではと思うと、PK戦敗退が惜しい。加えて、ガーナにはマイケル・エッシェンがいなかったわけだから、どれだけ潜在的にチームの力があったのか。惜しい。
その他、良かったチームを上げると、アメリカ。4-4-2が好きな私としてはこのチームは非常に好きなチーム。ランドン・ドノバンのゴラッソ二つも素晴らしいのだが、イングランド戦から見せつけられた組織力の高さと選手個々の質の高さは申し分ない。何故勝ちがれなかったかと言えば、このチームは前年までのエースストライカーであった、チャーリー・デービスが自動車事故で欠場を余儀なくされたからである。明らかに攻め手の不足を感じたわけだが、組織力および中盤のガッツは良かった。ガーナとの一進一退の戦いはどちらが勝ってもおかしくなかった。互いに主導権を取り合う試合。試合の決め手はギャンの個人の力だったわけだし。
守備および組織の力を評価するにスイスは落とせない。スペイン戦のツーラインでの対応は見事。ドイツは怪我人続出という状況で上手く戦ったといえる。残念なことはトーマス・ミュラー出場停止の穴を埋める選手がいなかったことおよびレフトバックを誰にするかを決められなかったことと言える。死の組と言われたグループGで敗退したコートジボワールは戦力として低い方ではない。「運に恵まれていなかった(ドログバ)」というほうが正しい。
この辺が良かったというところか。あとはスロバキアスロベニアの善戦も光った。
悪かったのは、フランス、イングランド、アルゼンチン、ブラジル。この話は次に。