人選ミス。考えすぎ。
今回のUEFAチャンピオンズリーグ決勝を終えて、各所で言われた単語がこれでした。


https://encyclopector.hatenadiary.org/entry/2021/05/28/235601

今回の決勝で、(ペップが)考えすぎて失敗する試合だけは、シティーおよびチェルシーのファンではない私としては見たくない。というのが要望。

と、試合が行われる前に書いた私の悪い予感が的中したのが、この試合でした。
というわけで、先ずはペップ・グアルディオラマンチェスター・シティーを追体験する形で、決勝戦を考えてみましょう。

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MCYCHE

マッチレポートはこちらをご覧ください。
www.uefa.com
www.bbc.com

前半早々のラヒーム・スターリングのチャンスはありましたが、マンチェスター・シティー枠内シュートは試合を通じてこれ1本。
ボールはそれなりに持つものの、GKを脅かすシュートを撃つことができない。
一方でチェルシーは毎度恒例のティモ・ヴェルナーをスピードあるディープスレットとして配置した上で、ジエシュではなくカイ・ハヴァーツを起用。
得点は所謂ファストブレイクで、GKからのボールが左サイドに通り、左サイドのマウントからハヴァーツに一本のパスが通って、冷静にGKをかわしてゴール。
先制点の後もシティズンズがゴールを脅かすシュートを撃ったのは本当に時間が経ってから。(シュート寸前の場面はあったけれども、アントニオ・リュディガーに防がれている)
一番惜しかったリヤド・マフレズのシュートも後半アディショナルタイムのロングスローのどさくさ紛れで撃ったシュートでした。GKが反応できなかったのでとても惜しかったですが。
結論として、ペップのチームは、攻撃が機能しなかった。ということになります。中盤の選手達がパスをつないで、スペースを侵略し、相手の守備を困惑させたうえでシュートを撃ってゴールを重ねる。そんな理想的なことはできませんでした。
www.bbc.com
BBC筆頭に、彼の選手選考の判断が誤りだったと言われていることですが、
ペップ・グアルディオラの発言を見てみましょう。
www.independent.co.uk

ギュンドアンは何年もこの(ディフェンシブミッドフィールダー)ポジションをやっている。スピードがあって、小さな選手を見つけられる、性能があり、中央で中盤で、相手のラインの間で輝く選手だ。だから私は選んだんだ。

と、この判断について試合後会見で述べています。(残念ながら「何故フェルナンジーニョを(ロドリも)落としたのか」という質問がなかったので回答もない)
しかし、疑問が残る点は一つ、相手のラインの間で使うならディフェンシブミッドフィールダーよりも高い位置のほうが良くない?
この解決がフェルナンジーニョであり、ロドリだったと思われるので、この選手選考は理解に苦しむわけです。フェルナンジーニョ(またはロドリ)は、優秀な選手達が化学反応を起こすための大事な触媒のような選手であり、戦術的な布石のはずだったわけです。それを除いたら期待したい結果を得られるとは思えません。更に言葉を付け加えるなら、イルカイ・ギュンドアンが要求する結果を出している試合は同時にロドリが先発している。
MFの人選としては、試合開始当初はケヴィン・デ・ブライネがトップの位置で使われていて、彼の良さを消しているように思いました。彼はプレミアリーグの中で最高峰のMFであるわけで、どうして彼をMFとして使う信頼をしないのか、理解に苦しみます。フィル・フォーデンとラヒーム・スターリングが同時に起用されて、サイドアタックが逆に弱体化した点の不思議さ。
クリス・サットンあたりはガブリエル・ジェズスが先発でないことも怒っているので、確かに。真ん中でジェズスがいるからこそ、他の選手を引き立たせる、という選択もあったのではないかと思うわけですし、昨季のCLレアル・マドリード戦のジェズスが左のウィングで相手の右サイドに対応する奇策も素晴らしかったわけで、ジェズスが先発した上でいくつかの選択肢があったとも思います。


敗因で考えられる点は、選手選考を除けばアクシデントで退場したデ・ブライネを補完する選手がいなかったこと。アンタッチャブルな選手故に、彼が不在となったところでの対応が上手くいきませんでした。(KDBの交代がジェズスだったのは、それでもフェルナンジーニョを使わないのかと驚いたところ)デ・ブライネの素晴らしい点はロングレンジのパスも素晴らしいところですが、的確なポジションで見事なシュートを決める力があるところ。相手の守備選手は常にシュートも意識した対応を取らざるを得ないわけで、脅威が減ったのは、確かなところ。アタッキングミッドフィールダー、ベンチにいなかったんですね。


さすがに試合前の選手のコンディションまでわからないですが、シティーの選手をどう配置するかを考えると。
エデルソン
カイル・ウォーカージョン・ストーンズ、ルーベン・ディアス、オレクサンデル・ジンチェンコ
フェルナンジーニョ
ケヴィン・デ・ブライネ、イルカイ・ギュンドアン
リヤド・マフレズ、ベルナルド・シルバ、ラヒーム・スターリング
となるでしょうか。フォーデンではなくフェルナンジーニョギュンドアンは一列前に配置して相手の守備を困らせる。デ・ブライネの守備の負担を軽減するためにシルバとデ・ブライネは縦のポジションチェンジは繰り返す。
1点欲しい場面になった場合は、ガブリエル・ジェズスを入れることを考える。
1点守る場面になった場合は、ロドリを入れることを考えたうえで、前からチェックをかける選手を入れる。
サイド攻撃を行う際に相手選手がマーカーを注視して追ってこないのならば、狙う弱点はリュディガーのサイド。右から崩して左で決める。
ティー側の守備の不安点は、ヴェルナーのスピードへの対応力になるので、中央のフェルナンジーニョがストーンとして機能することで、他の選手は中央の不安を軽減して、相手のスピードはそれぞれ対応する。
あたりを用意しておけばと思いました。


それでも、失点シーン。ストーンズが右サイドの高いところに上がり、ヴェルナーに引っ張られたルーベン。ハヴァーツへの対応が遅れたジンチェンコ。ブルーズ側の攻撃が見事だった分、大事なことはもっと相手守備に脅威を与える、ペップのチームの攻撃がもっと機能していたら、ということに尽きるのではないでしょうか。