ザ・インタビューズの転載2

  • 今のところリーグ戦無敗のマンチェスター・シティですが、彼らが星を落とすとしたら、どの辺りから綻びが出そうでしょうか?

2011年の12月に黒星を喫すると思っています。
対戦相手がチェルシーA、アーセナルH、ストークH、ウェスト・ブロミッジ・アルビオンA、サンダランドAという状況です。
星を落としたのがチャンピオンズリーグでは2試合もあるのでその点も含めて書きますと、綻びはどこから出るかと言えば、先ず考えやすいのがヤヤ・トゥーレです。
今季も中心で活躍している選手なんですが、この選手、1試合当たりの平均運動量が高くないんです。一流が11km程、12kmを超えたらスーパーな選手というあたりで、実際にCLの5試合でどうだったかという数字がこちら。

1.10531
2.11007
3.11520
4.8528(74分で交替)
5.10952

という前提を踏まえた上でこの選手がどの辺のゾーンを動いているかを確認しますと、彼はセントラルミッドフィールダーとして前に行くのは好きだけれど、守備をするのが嫌いな印象を毎度見受けます。
さて、選手の前置きを書いた上で検証をかけますは、負けた試合です。
この2試合共にヤヤ・トゥーレは先発し、中盤の中を2枚で構成する布陣で臨んでいますが、彼の守備面でのマズさが試合に及ぼした影響が多大にあったことが試合を見ていれば見受けられることは明らかです。
バイエルンミュンヒェン戦は、段階もあって面白いです。
まず、最初の段階で出てくるのは、前半に左サイドから攻撃を仕掛けてカウンターを喰らった場面です。このシーンでヤヤ・トゥーレとコンビを組んだガレス・バリーは下がって守備に参加するものの、トゥーレ本人の守備は積極的なものでなく、加えて左のウィングのサミル・ナスリの戻りが遅いことが印象に残るシーンでしたが、更に大事な点はその直後にバイエルン監督のユップ・ハインケスが前線の修正をかけることです。
最近の流行りの真逆をやるんです。理由は2つ、この試合のシティーはラインディフェンスに重きを置いたことと、バックラインとミッドフィールドの守備の連携がマズいことがわかったこと。
簡素ですがバリーが守備で顔を出した分布をだすとこんな感じなるところも重要な要素で、左の選手が右まで回って守っているとか何を考えているんだと思いました。2点ともシティーの右サイドから失点しているのは偶然ではないわけです。
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この試合の続きをすれば、「MF登録のナスリは守備貢献が少なかったので違う選手を出すべきだった」という言葉に最終的に落ち着くわけですが、その中で何が起きていたかと言えばバリーが一人で大変色々背負わされたわけです。そういうことの一因がトゥーレにはあるわけです。中盤の攻撃を担う役者として申し分ない選手ですが、彼を起用するなら中盤の底にナイジェル・デ・ヨンクを欲しいとも思う。ただバイエルン戦はデ・ヨンクの入れ方とチーム自体プランニングにミスがありました。バイエルンの修正にシティーは適応できなかったのです。

その直後の試合はマンチェスター・ユナイテッドとの試合でしたが、その試合からシティーはこれまでの戦術を変更します。ラインディフェンスをやめる選択です。この試合以後ライトバックのマイカ・リチャーズのオーバーラップが増えているのはご存知だと思いますがバックスの守備もきっちりラインを作って戻ってから守ることを放棄しています。まずマッチアップを見てからのゾーンになってます。
その次に負けた試合が今度はナポリ戦です。ナポリ相手に何が原因で負けたかと言えば一つはフルバックです、ナポリの3トップがサイドから攻めるのを分かっていながら対処がなかったと見えるほどに。そして対処しなければならないポジションの選手がヤヤ・トゥーレだったというお話。
ナポリ戦でもそうですが、1試合を通してトゥーレのポジションは合計するとセンターサークル少し前付近にいたという統計が出ています。そんな前掛かりに行くことが好きな選手が守備のカバーをして、守備面での貢献になると思う方が間違っているんです。彼の才能に疑いはないですが、4-3-3でトゥーレが中で左にバリーで右にミルナーとかやっているのも私は失点を喫していつかは負けると思います。
守備的すぎると非難囂々ですが、中盤の底でデ・ヨンクが守りアタッキングミッドフィールダーとしてトゥーレがいるほうが現実的に強いと思いますが、采配力がないですからね。シティーは。
4-3-3と4-4-2を指で鳴らすだけで変更できる名監督がインテルビッグイヤーに導き、チェルシーでプレミアのタイトルを取りましたが、彼と比較したら雲泥の差。

長い前置き終了で、さて本題。どういう負けを考えるかですが
まず傾向としてフルバックが空中戦に弱いというのは見えてきます。高さのミスマッチから失点することは大いに有り得るわけでチェルシー、ストーク、サンダランドはそういう当たりで狙い目。前述までの長い長いトゥーレの説明を延ばせばマタをどうやってマークするのか見所です。そして現在のバックスのスキームに対して一番困るのがアーセナルの4-4-2でファンペルシーと誰が絡んでくるか分からない攻め口では2ラインの間に脆さがあるシティーの守備は不安を隠し切れませんし、ウェストブロムは守りさえ何とかなれば前線の優秀な2Topが仕留めても不思議はありません。


というわけで結論ですが
そもそもシティーに綻びがないわけではない。フルバックと中盤のディフェンススキームには問題がある。
ただ攻撃陣がよいというプレッシャーが勝たせているに過ぎない。
だからどこかで負ける。
ということです。