これでまた強豪国との対戦成績に勝ち星を着けられなかったドイツ。選手に関しては何度も書いているので、今回は采配面の問題を。

ドイツ

  • 先発メンバー

GKは公約通り、イェンス・レーマン。最終戦オリヴァー・カーンとしっかりとローテーション。それに問題はない。今回は中盤にトルステン・フリンクスとファビアン・エルンストと守備的な選手を2名起用。ロナウジーニョを筆頭とする中盤での短いパス交換を防ぎたい計算。左サイドバックベルント・シュナイダーを起用。選手がいないというにこれはないだろ。彼の本職は右サイドのMF。たしかに所属のバイヤー・レヴァークーゼンではサイドバックをやることもあるが、それでも右サイド。左サイドバックに関してクリスティアン・シュルツの故障後、クリスティアン・パンダー呼ばなかったのは痛い。そもそも、フィリップ・ラームアンドレアス・ゲルリッツの欠場が痛い。

  • ディフェンスライン

やはりロベルト・フートペア・メルテザッカーの二人は心配だ。特に前者。ファウルの取られ方が悪すぎる。アドリアーノに取られなくてもいいファウルをしてPK献上。アホか、それにドイツのPKの場面も審判が見ていなかっただけで、明らかにホッキ・ジュニオールにファウルしていたぞ。ドイツの守備の選手、フランク・バウマン、クリスティアン・ヴェアンス、イェンス・ノボトニー、クリストフ・メツェルダーセバスティアン・ケールマルクス・バッベル、フランク・ファーレンホルスト、とかいるっちゃいるのか。やはりキャプテンシーと統率という点に関してはカルステン・ラメロウ以外に考えられないな。今の若手起用には明らかに問題がある。

  • 中盤

エルンストの動きは良かった。きっちり潰すところは潰して、攻撃にも何度か参加していたが、肝心の魅せる場面が無かったのは寂しい。これはフリンクスに関しても。それに守備との連携に若干の不安が。かなりラインとスペースが空いていた時間帯もあった。バラックが上がるには良いのかもしれないが、個人的には物足りない。

前半のダイスラーは右サイドから何本か良い場面を作った。ドイツの1点目のコーナーキックを蹴ったのは彼だ。そのダイスラーが後半20分あたりから運動量が落ちた。どこで代えるのか気になっていたが失点するまで替えなかった。勝ちに行くならもっと早めに。しかも交代した選手がミケ・ハンケ。ダイスラーが中盤で良いボールを供給できる場面はあったわけだが、実は今回左サイドバックで起用されたベルント・シュナイダーが縦横無尽に駆け回って攻撃にアクセントを付けている場面のほうが良かった。ダイスラーに縦の突破は少なかったし、サイドバックのアルネ・フリードリッヒのオーバーラップを促す場面も少なかった。

  • ミケ・ハンケ投入以後

3トップにする理由がまるで不明。ミヒャエル・バラックがポジションを上げて攻撃にかかっているところに人員だけ増やして、供給役のいない変な状況になってしまった。ペア・メルテザッカーが中盤のポジションに上げようとしていたが、余計にサイドはスッカラカンという戦術の不徹底を感じてしまった。入れるなら、個人技で突破の図ることのできるバスティアン・シュヴァインシュタイガーか、供給の巧い中盤の選手だっただろうに。

  • その他交代策

ゲラルト・アサモアがケヴィン・クラニィに代わって入ったのは、まぁ分かるがアサモアはダメだったな。クラニィと違ってポストプレーができるわけでもないし、高さで勝負できなかったのは痛い。ドイツといえば高さのあるFWというイメージが払拭できない私には痛い。FWだったクリンシーも辛かろう。その後、ティム・ボロウスキーを入れたわけだが、ボロウスキに何を期待していたのかもわからない。クロスの供給もなかったわけだし、ドリブル突破もなかった。シュバ坊のほうがまだ良かっただろうに。それから、招集されたメンバーで唯一、出場しなかったマルコ・エンゲルハウト。可哀想に。決勝戦に出るのだろうか?

ブラジル

  • スタメン

ブラジルのメンバーは現状のベストメンバー、日本戦にはいなかったジダ、エメルソン、ジウベウトは復帰し、右サイドバックにはベレッチ負傷後に招集されたマイコンを起用。センターバックにはホッキ・ジュニオールを起用。メンバーの変更といっても、システムや戦術にはなんら変更はない。

  • 戦術

ブラジルの戦術は前の4人、アドリアーノロビーニョロナウジーニョ、カカが流動的に動くところに、サイドバックがアクセントのようにオーバーラップを繰り返す。ところが、前線に4人を割く関係で中盤の底での競り合いに弱く、サイドへボールを流されると相手選手とは1対1もしくは1対2になる場面が増えてしまう。ゼ・ロベルトが左サイドにいることが多いので左サイドのケアはできていたが、右サイドに関してシュナイダーの攻撃参加を多く許した。攻撃に関してもカカが右サイドに張り付いていることが多く、攻撃で多く顔を見せることが少なかった。第一、個人技で抜くことができる選手が多い中、4人も前に配置するべきかどうかは疑問。中を固めて欲しいと思ってしまう。
勝てたのは、終盤になってドイツはスタミナが切れ、中盤と最終ラインが間延びした。そこにアドリアーノが抜け出してゴールというわけだが、前半からのハイプレッシャーに苦戦していた印象。右のマイコンシシーニョ、左のジウベルトの攻撃参加に関しては良かったが、攻撃のカルテットに関してはまだ考える必要がありそうな。
監督のパレイラといえば、1994年W杯には、守備的すぎると批判をされていたからなのか、あの4人なわけだが、攻撃に4枚使っただけでは攻撃的とは思えない。