かっかっか、快勝でござる。

見ていて、戦術的な面白みもあったので、そのことについて。

まずは、トフィーズデビッド・モイーズの交代策が当たったことについて。
レオン・オズマン→ディニャル・ビリャレトディノフ、これはケガによる交替だったのだが、次の2枚の交替が非常に論理的明快だったので。
ジョン・ハイティンガ→トニー・ヒバート
中盤の守備を担う選手からライトバックへの交替。ハイティンハはケガ持ちだったと思うが、良い動きしていた選手を替えてしまう。そしてフルバックのフィル・ネヴィルが中盤へ。
これは、試合を通して考えると、相手のリバプールの攻撃が

1.フェルナンド・トーレスが孤立する
2.中盤の選手による中央突破の回数が少ない
(この交替前に、ルーカス・レイバを下げてアタッカーのダビ・エンゴグが入っている)

ことを考えると、サイドをしっかりケアすれば間違いなく失点の機会が少なくなると。左は後半開始から代えたので、右を交替。これによりフレッシュな選手の投入で、本日頑張っていたシェイマス・コールマンの守備も余計なことを考える必要が減った。
続いてその2分後の交替が
ミケル・アルテタ→ジャーメイン・ベックフォード
後半の得点して以降、ティム・ケイヒルがポジションを下げ、ワントップで常に動いていたヤクブ・アイェグベニとの単純な交替と思いきや、ケイヒルを中盤に残してアルテタを代えてベックフォードを投入によりツートップに。
これが当たったと思えるのは、前節のブラックプールはワントップを残して守りきった形だったのだが、センターバックキルギアコスが上がって攻撃参加できていたことを封じる手段としてハマっていたから。3回あった攻撃の好機のうち、2回はシュートが決まってもおかしくないシーンだったので、彼にはチャンスを決める力をチャンピオンシップレベルからプレミアレベルに上げて貰いたいところ。
試合を通じて、モイーズは流れを読む力があったし、かなり分析して試合に臨んだ印象。

  • 19位に落ちた赤いほう

今季から就任したロイ・ホジソンだが彼には辛い敗戦。
何が悪いか、戦術的なお話の前に、前任者から引き継いだタイミングがまず悪い。
ホジソンのスタイルといえば、オーセンティックな4-4-2で、中盤の真ん中にスティーヴン・ジェラードが理想的な配置。だが前任者のハゲの下ではジェラードは4-5-1のトップ下で中盤の守備の負担を軽減しつつ攻撃に重きを置く役割。中心選手の役割を大きく変更できないままシステム受け継いで試合に臨んでもどうかと。
システムで動きの理解がマズいのは、ジョー・コールにも言える。彼はスリーライオンズでは左のアウトサイドにいたけれど、クラブレベルでは前所属のチームにて4-3-3の右ウィングだったはず。左の高い位置ではインサイドに切れ込むスペースが無さすぎてシュートが打てない。拙い右足からのクロスの終始と。
フェルナンド・トレスの調子の悪さはお話にならないレベルだったけれど、どうやってフォロー、サポートするの?ということが課題として明確に浮き彫りになった。守備の人材不足についてはフロントの責任。ハゲが連れてきた若手もカットしたし、どういう補強方針とか金銭面の問題を監督に責めるのは酷。

    • 処方箋

じゃあどうするかというお話。
やっぱりクラシックなイングランドスタイル4-4-2にする。トーレスと組む相手はアグエロみたいな相手バックラインとハーフラインの間で受けてかき回せるタイプの選手が欲しいのだが、ここがいない。残念なお話。
何故、このフォーメーションかといえば、ジェラードはセントラルミッドフィーダーの方が確実によいから。彼の長短のパスは非常に優秀だし、試合終盤のイングリッシュコメンタリーの言葉通りの「クォーターバックロール」の方が彼に向いている。
フォワード、ハーフの後ろのポジションでバックラインの前なので、1/4。アメリカンフットボールのQBさながらパスの供給とミドルシュートと、好きな言葉の表現だが、イングランドでこのポジションが相応しいの彼しかいない)
この変更で、ウィンガーと呼べるタイプのアウトサイドプレーヤーもいないところで、フルバックとの連携でのサイドの崩しも活性化できるだろうし、センターハーフのマークもトーレス一人に集中することないと思われるのでね。

    • 現実論

私が監督だったら、早めにジョー・コールを代えて左利きのヨバノビッチを左に入れてたと思う。
理由はサイドから崩してマイナスのクロスを入れた回数が皆無だったから。右はフルバックに本職でないカラガーだったので諦めざるを得ない。
2点目の失点の場面で、調子が悪いアタッカーは切っても良かったと思う。エンゴグでもバベルでも投入はどちらでも構わない。サイドの攻撃のリズムを変更したところでアジャストできないうちに、ツートップにしてジェラードはボックストゥボックスで自由に動いて活躍というのが、頭にあったけれど、どうにもこうにもならんかったね。
本当に残念すぎるリバプールでした。